北折一ブログ

2019年03月28日

命のお洗濯。

年に一度。
もう14年も連続して出かけている、秋田・日本酒と温泉の旅。
これだけはNHKにいたときから、年にただ1回「自分のためだけ」に有休を使っていた大切な行事です。
(自分のためだけなんで、家族旅行でもなく)
もうね、全然どう書いても書ききれないほどの、ものすごーく濃いツアーです。
今年は、ついに「狛江で美味しい地酒を楽しむ会」の会長さんが、初参加。
限定4名で行ってきました。
秋田NEXT5の最終兵器・一白水成の福禄寿酒造さん
やはりNEXT5の良心と言われる春霞の栗林酒造さん
(あ、NEXT5というのは、日本酒熱烈ファン(あえてマニアとは書きません)ならほぼご存知の、秋田県のお酒の牽引役とも言える若手の蔵元さんのグループです。伝統的な杜氏制度とは全く違うお酒造りに取り組んでいて、とっても素晴らしいお酒を次々と出してます。詳しくは検索してね。)
そして、ぼく自身は初めての、NHKプロフェッショナルで話題沸騰・雪の茅舎の齋彌酒造さん
にもおじゃましました。
連れてってくださるお方が、秋田の日本酒の大御所さんですからねー。
各蔵元の杜氏さん社長さんから、普通じゃ聞けないディープなお話が聞けて、
そりゃもうすごいツアーなのですわ。
ほんと勉強になりました!!
何度目かの蔵は、毎回行くたびに、設備が進化しています。
よい蔵は、儲かった分をすべて、酒質向上のために惜しげもなく投資しているのです。
何よりもおもしろいのは、どの蔵でも「考え方」という言葉が、必ず出てくること。
一つ一つの細かな作業工程に、すべて「考え方」が込められてます。中には、20回くらい連発されてた社長さんも。すごいんですよ、そーゆーのが。
なんかね、自称日本酒マニアの中には、「伝統的な古い設備で、職人の勘を頼りに作っているイメージ」がないと許せないような人もいますけどね、違うんですよ〜。
どこまで設備が進化しても、人間が、人間の「思い」で、微生物と真剣に向き合って造っているわけですからね。
でも今回はどこも、建物そのものが明治・大正の建築で、無形文化財に指定されてるような、素晴らしいロケーションの中で、新しいお酒造りにチャレンジされてる蔵元さんです。
自分自身すご〜く贅沢だなと思うのは、そんな蔵元さんの思いを、そこのお酒を飲むたびに思い浮かべて味わうことができることです。銘柄信奉やスペックマニアの人よりも、断然おいしく飲むことができるのです。
まあ蔵元さんの案内も、HPやいろんな人のブログなんかで出てますからね。
お酒が気になる方は、蔵元さんの雰囲気も併せて検索してみてください。

例年は2月末に出かけているツアーなのですが、今回は約1カ月遅れ。
雪景色を楽しめるかどうか心配してたのですが、平野部の残雪はビックリするほど消えていたのに、山間部ではそこそこ残っていたうえに、きっちりぼくたちに合わせてくれたかのように、当日は美し〜〜〜く新雪が!!
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ホント毎回毎回、秋田を離れるのがめちゃ寂しくなって、泣きそうになるツアーです。
いつもながらの絶妙な湯温も、ホント命のお洗濯なのです。
(体は硫黄臭くなりますけどね。)
今回は、別角度の写真にしてみました。さてど〜こだ?
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はあ…。
働かなきゃね。さんざん飲んで遊んだからね。



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2018年06月23日

「こぼれネタ(爆笑、後しんみり)」のほうです。

日本最大の秋芳洞を訪れたのが6月2日。同じ週の8日には、大分県の佐伯市に呼んでいただきました。
ここの市役所には、「こんな公務員がいたなんて!!」と心の底から頭の下がる、めっちゃ素敵なお友達がいて、空港までお迎えに来ていただきました。去年の台風で自宅が泥流でたいへんなことになってたのに、休みが取れたら毎年続けている東北復興支援に出かけちゃうような人。かなりの有名人で、もう何年も前から、毎年神戸の勉強会で会ってる人です。(気になる人は「ネコの会」で検索!)
高速で佐伯が近づいてきたとき、車窓からドーンと見えたのが、巨大な採石場。おっと〜!!めっちゃ石灰岩地帯じゃないですか!!!こりゃ、鍾乳洞があるに違いない!!
合併で巨大化した佐伯市は、全国的に有名ではないものの、海山川ぜんぶよいところ…のはず。
はず、というのも、今回は「ついでの観光」は一切考えず、何にも下調べをしていなかったから、よく知らないままだったのです。(講演の翌日は「佐伯市の役に立つようなお手伝いをしたい」と、申し出てました。)しかも、講演が2本立てでまったくの新ネタだったんで、余裕もなかったし。…だったのが、採掘場を見て途端にワクワクし始めちゃったのでした。
「蕎麦でも食べましょう」と連れてっていただいたのが、こんな素敵な景色のところ。
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日本一でかい水車は故障中でしたが、この川がめちゃきれいで、下流から上流に向かいながら、ああ、ウナギたくさん獲れそう、この辺はアユで、もうちょっと上にヤマメ(アマゴですけどね、地方名はエノハ)だな、みたいなワクワク感。
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普段料理の写真を撮らないぼくが思わず撮ってしまった、タケノコのお寿司。美しいだけでなく、美味しいんですよ〜。タケノコとは思えない爽やかさで。
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そして、橋の上流には、オーバーハングの岩壁に遊歩道。見た瞬間に、「あれ?ここ有名ですよね。ぼくの持ってるクライミングのルート集に載ってますよ」と、気づきました。
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とっくの昔にやめてしまったクライミングの、しかも20年以上前に買った本の、しかもめちゃ後ろの方に載っていた、しかも絶対行かない九州の何県かもわからない、しかもしかもこんな小さな写真1枚を覚えてたぼくがすごいですよね…って、そんな話はどーでもよくて、鍾乳洞。
まさにこの遊歩道の先にあったのですが、残念ながら、去年の台風の復旧工事中で、閉鎖されてました。
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こぼれ話はここからです。
しょげてるように見えちゃったのか、話してくれたのが、近隣に山ほどある洞窟の、知られざるエピソード。
なんと、中で旧石器時代の遺物がちょこちょこ見つかってるのです。それだけでワクワクするでしょ。ヒゲはやして毛皮で肩の出た服でヤリ持ってる姿が目に浮かんだでしょ。暗い洞窟の中、焚き火を囲んで、肉食ってるでしょ?
なんとここで、4、50年前に世紀の大発見があったそうなんですよ。旧石器人の描いた壁画の発見!!!
どえらいことじゃないですか!!!!!スペインのアルタミラでしょ!ラスコーでしょ(フランスでしたっけ?)!!世界中で教科書に載ってて習った、あれに匹敵するものが何と日本にもあったなんて!!!
まさに今運転してもらってる、ほっそい山道がマスコミも殺到して渋滞するくらいの大騒ぎになったそうです。そりゃなりますよね。描かれていたのは、すでに絶滅したオオツノシカで、角の部分が、薄れてはいたものの見事に描かれていたと、別府大学の専門家が鑑定の結果、発表したんですから。
ますます、鍾乳洞が閉鎖されてることが残念でならなくなった、そのタイミングで!!
「まあ本人も言い出しにくかったんでしょうねえ。」
え?     あ?     え、え?    な展開。
3日目のこと、だったそうです、騒ぎになってから。
近所に住むおじさんが、「誠に申し訳ないんですけど」と名乗り出たのは。
ピンとくる人にはピンときますね。かつて、ゴッドハンドと言われた遺跡発掘の第一人者が、事前にこっそり自分で埋めたやつを掘ってたという、あの歴史的ねつ造事件。
でもそんな、腹立たしい事件ではありませんでした。
そのおじさんが小学生の頃、自分の名前を壁に彫ったそーなんです、ひとりで洞窟探検をした記念に。
斎藤逸郎の、斎だか逸だかの上の方が、オオツノシカの角に見えちゃったんですって。
って、鑑定した別府大学の先生、赤っ恥じゃないですか!!の爆笑ネタ。
…なんですけど、一瞬笑えるものの、しんみりしちゃう話でしょ。その時の心理やその後の気持ちを思うと。志の輔さんの落語みたいに、ほろっとさせられるような。いや、事実なだけにより深いかもしれません。まあ誰も、一人も、悪くないですからねえ。

とまあ、そんなこんなな佐伯の旅。
初めてチャレンジした「男女共同参画について」の話も、いちおう無事に北折流に構成できました。夜の部、役所職員や向学心あふれる市民が熱心に聴いてくださった「佐伯人創造塾」のチラシ講座も無事に終えて、これまた尋常じゃなく「こんな鮨屋があっていいんか?」なド変態のお鮨屋さんでマニアックな日本酒を山ほど堪能いたしました。(あ、ド変態というのは、日本酒ラブな人には、最高のほめ言葉ですからね。)
職員が作成する勉強会のチラシが、堅苦しくていかにも行政文書のつまらないものから、翌週には激変したという、うれしい報告もいただきました。(マジビックリの変貌ぶりでした。)
そして、「佐伯のために役立ちたい」との申し出に対して用意していただいたのは、ケーブルテレビの番組の構成へのアドバイス。佐伯人のすごいのは、それを会議室ではなく、わざわざ道の駅の食堂にセッティングしてくれるところです。なんとね、そこに併設されてる淡水漁の水族館が、番匠川にこだわってて、とっても充実してるのです。魚好きのぼくへのおもてなし精神なんですねー。
学芸員さんがまたマニアックな人で素晴らしく、話を聞くだけで楽しかったんで写真は撮り忘れましたm(__)m。
メインの水槽は、水槽に見えてじつは屋外。再現した川の流れを建物内からガラス越しに見る仕組み。ちょっと目を離すとサギがヤマメ(しつこいですが地方名エノハ)を襲いに来るので、しょっちゅう捕まえに行って補充するんだそうです。
そんな地味にすごい名所もありますからね、佐伯。次回は2〜3泊で来たい町でした。
あ、その市役所職員がどんなにおもろい人なのかを示すチラシがありますので、こっそり無断添付しちゃいましょう。いいですよね、宣伝にもなるんだから。0001.jpg
このベロ出してる人がそうです。これは、ぼくの手が一切入っていない、山形の知らない人が作ったものです。公務員が作った「食育講演会」のチラシとは思えないでしょ。いるんですね、あちこちに素晴らしい人が!!!
posted by kitaori at 13:42| Comment(2) | TrackBack(0) | 罪滅ぼし、ツアー記

2017年09月05日

杜の都に、涙す。

先月の話になっちゃいますが、仙台。
日本中のPTA会長が8000人近くも集まる全国研究大会でお仕事してきました。
毎年場所を変えて開かれるこの会で思いっきり飲みまくるのが楽しみ!!な会長さんたちばかりと見えて、日程が「酒飲みのための組み方」な感じもしちゃうんですけどね、やっぱりそんな感じで盛り上がってました。お酒も東北と北海道の選りすぐりのが大量に。もちろん各県のPTA代表のセレクションですから。
ひとつわかったのは、いろいろ問題も抱えてるPTAですが、どーせやるなら思いっきりやっちまった方が、どれだけ楽しいかってことですね。やらされ感でいっぱいの人は、PTAに限らずいろんなものに不満の多い人なんだろーなと、それはよくわかりました。

その仙台で、泣けちゃって。
仙台って、駅は海から離れてるから見すごされがちですが、じつはけっこう海岸線長くって、大きな津波被害がありました。
前夜祭のアトラクションで、復興ソングが2曲歌われたのですが、宴たけなわの酔っ払い集団の前で、しとやかで伸びのあるかわいくて美しい声で心にしみる歌を聴かせてくれた歌手・遊佐未森さん。
いいんですよ、ものすごく。ぼくは全く知らなかったけど。
初めて聴いたのに懐かしい、不思議な力を持った歌。
歌詞がまたいいんです。
なぜか、仙台の復興ソングには小学生バージョンと中学生バージョンがあるんですが、何だろーと思ったら、市内の小学生と中学生が作った歌詞なのです。そして、それに曲をつけたのが、今目の前で歌っている、遊佐さん。
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言葉の一つ一つは、まあありがちなものなのに、なんでこんなにスーッと心に入ってくるのか。
ホント不思議な力。
これを聴いただけで、仙台に来た価値があったと、マジで思いました。

そして翌日が市内あちこちの会場に分かれての分科会だったんですが、
これがもう、ボロボロなのでごじゃりました。
いや会場が、ではなく、ぼくの講演が、でもなく。
だって、小中学生のめちゃ美しい合唱だったんですよ。
昨日じわ〜んとしちゃった、あの2曲の。
仙台ではすべての小中学校が歌ってるんですって。
その後に、ぼく本番でしゃべらなきゃいけないのに、目からボロボロボロボロ。
こーゆー時に民放の番組だと「号泣」とかテロップが入りますが、号泣は「大声を出して泣くこと」ですからね。とかなんとかはどーでもいい!!
ちなみにさっきWikiで見たら、遊佐さんなんと!!ぼくと生年月日が完全に一致!!
とかなんとかもどーでもいい!!
浮かぶんですよ、あちこちの学校で子供たちが歌ってる様子が。
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あのね、
歌詞の中に、「思い出す」という言葉が何回も出てきて、これがもうあかんです。一発でやられます。「思い出す…」。「思い出す…」。
あー、思い出しちゃいます。いろんなことを。



忘れませんから。


posted by kitaori at 03:02| Comment(1) | TrackBack(0) | 罪滅ぼし、ツアー記