北折一ブログ

2018年07月09日

「カスタマイズ」

その日のお仕事は、早朝5:07の電車に乗ってさえも、研修会場近くの駅には10:18にしか着けない、兵庫県の山間部。研修開始が11:10だから、めちゃくちゃ危険なのです。
ダイヤが少しでも乱れたらアウト。寝過ごして乗り換えに失敗でもしたら完全にアウト。
移動中も怖くて眠ることができません。
ぼく通常は、1時間以上前に会場に入るのですが、今回の会場はすでに付随行事が始まっていて、パソコンとプロジェクターの接続テストもできない、恐ろしくバタバタの状況。
あ〜あ。こんな日に限ってねえ、深夜3:00にキックオフなんですよねー、ベルギー戦。
90分にハーフタイム15分足したら、アディショナルタイムがまったくなくても4:45。やばいじゃないですか!!電車は5:07だもん。アディショナルは前後半ともほぼ5分だし。
もちろん全部しっかり見ましたよ。日本男児ですから。試合終了の笛を聞いて、選手がへたりこんだ瞬間にテレビ消して家を出ましたが、あれがもし延長・PKだったら、ヤバかったですね。マジ遅刻するところでした。
で、その状況で、現地の駅に着いたら、駅舎の前にいるんですよ。やばいヤツが。
こんな怖いヤツが、将棋さしてる。
20180703_161446.jpg
まあ民俗学者の柳田國男の生家のある町ですからね。
「一緒に将棋指して撮るのがいいんですよ」と、お迎えのご担当者が2Sの写真も撮ってくれました。
でもぼく、じつはこいつの存在を事前に知っていました。

相手の心に届くプレゼンをするには、相手の心が、「何でもいいから動く」ことが、大切。
それには、「カスタマイズ」がめっちゃ簡単に使えるワザです。
すなわち、オーダーメイドで「あなたのためだけに!」、事前に手間ひまかけて「ご準備しときました」ですね。
ぼくは住民向けの講演会では、必ず何かしらやります。町名をもじったダジャレの時もあれば、町民の健康診断の結果データを分析したもののことも。
いずれにしても、口先だけではなく、ちゃんとスライドに作り込んでおくのがミソです。
でも、研修の時にはあまりしません。そもそも内容が、相手の仕事内容に合わせてめっちゃ毎回カスタマイズしてますから。
今回は保健師さん向けの研修会だったので、普段ならしないところなのですが、「スライドの作り方のコツを是非!」という強いリクエストがありましたので、ちょっとした出来心で用意してたんですよ。
こーゆーの(もう古くなった、PPAPをもじったやつですね)。
20180705_143346.jpg
そう、
「地元民ならみんな知ってる何か」を、「画像検索してぶっこむ」。
これが最も手っ取り早く、相手の心を掴みますからね。この怖すぎるカッパの存在は、とっくのとうに調べがついてるんですよ。(※画像は著作権で保護されている場合があります。)
でも、駅で将棋さしてることは見落としてました。
やや悔しい。
そして、会場に着いてすぐにはプロジェクターのチェックができないもどかしさ。
さらに言えば、事前に準備しといたPPUPのスライドが出て来るのは、予定では、昼休みを挟んだ、14:34頃。タイミング的には遅くて、ちょっともったいない。
こーゆー気持ちが一時に渦巻くと、めっちゃ考えるんですよ、ぼく。
最後の最後まで、少しでもいい方法は無いかと考える習慣を、「ためしてガッテン」の制作を続ける中で、志の輔さんから激しく学びましたからね。
それで作ったのが、このスライド。
20180705_152453.jpg
始まって69枚目。
午前の部に2つあるヤマ場のうちの、でかい方のヤマ場に合わせて。
「健康教育にあたっては、もっと演出家的な発想を加えるべきだ」、と冒頭でぶちかまして、そうした方がいい理由とそのやり方を具体的に解説し、さらには、「ぼく自身は住民向けにこんな話し方をしている」という実例を再現していくという流れの中で、
「ほらね。思いっきり説教臭い話も、タイミングを周到に計算して、『説教聞きたいモード』さえできていれば、めちゃ相手に響くんですよ」という話まで運んできて、「おおおお〜、なるほどすごいわ〜。プロはそこまで考えて構成してるのね〜」と、感心していただいたタイミング。
「でも私たちシロートには、なかなかそこまでは難しいかもな」…と思い始めるまさにその瞬間を見計らって、「で、どうしたら、そんな話の組み立てを思いつくことができるのか。方法があります。それは、これです。」とまで振ったタイミングで、ドーン!!と出て来る。
もちろん、「これさっき駅前で写した写真で」みたいな野暮なことは絶対に言いません。
地元民なら見慣れたキャラクターとともにそこに映し出された人物が、今目の前でマイク持ってしゃべってるのと同じ人物である、と気づくまでに一瞬のタイムラグがあったあと、「ええ〜?」「ええ〜!!」という声がたくさん上がりました。
そりゃ驚いて当り前ですね。
ぼくが駅に着いたのが10時18分。この写真が撮られたのが、10時21分35秒。そこから車で数分走って、10時半頃会場に入り、とりあえずお茶が出たり町長や課長と挨拶したり。で、11時にようやくパソコンのセッティングが始まって、11時10分のしゃべり始めまで、ず〜っとバタバタしてるのを、小さな会合だからみんなが知ってますからね。
「え、なんで?いつの間に???しかも、演技までしてるし!!」というのが、絶妙過ぎる時間帯に、絶妙過ぎる内容と文字で出てきますからね。
ここで大事なことは、これはぼくがプロだからできたのではなくて、
「考えたから」できた、ということです。
まあね、必死でしたもん。どこでどう使うのが一番いいだろうか!?!? ただ見せるだけじゃなくて意味を加えないと薄っぺらくなっちゃうし、どうしよう!?!? を、ああでもないこうでもないとスライドを見直し見直し、時間のない中、もんのすごく考えましたもん。

ちなみに、少し手の込んだこともしてあるんですよ。よく見ると、画面右上に小さく1158と書いてあるでしょ。
「あ、すみません。ちょっとここで残念なお知らせがありまして…。ここに小さく1158と書いてあるのは、11時58分にはここを通過しないと間に合わない、ということで…」という話をします。するとみんな一斉に時計を見て、「え、もう12時17分じゃん、全然間に合ってないし!」と、誰もが思います。
もちろん最初から計算ずくで、予定としては12:16通過だったのが、1分遅れくらいの感じ。
なんでそんな意味不明の演出が入るのか。
ネタバレになっちゃうからどうしよっかな。
まあちょっとだけ書いちゃいましょう。経験者の方は、「ああ、あれね!」とわかりますね。
「時間があればこの話をしようかとも思ってたんですけど…」と運んで、「休憩までの時間が2〜3分くらい伸びちゃうくらいだったら聴きたい人が多ければやりますけど、どうされますか?」と、聴講者の皆さんに尋ねるワケですね。するとかならず、めっちゃ大きくうなずいたり手を挙げたり拍手しちゃったりが起こります。
つまり、会場全体が「聞きたいモード」でぶわ〜〜〜っと覆われるわけですね。
まあそんなようなやり方が、「演出家的発想法」というわけです。
もちろんこの数字も、スタート時間やスライドの順番、お客さんのタイプや疲労具合予想などに鑑みて、毎回毎回カスタマイズしてますよ〜。
ぼくの場合、「プレゼンのやり方」をプレゼンしてますから、自分のプレゼンがイマイチだったら、「一発退場」どころか、永久追放です。「受け手の心理状況をよく読み、それをうまくコントロールするように構成を熟考して発信すべきである」とまで言い切ってますので、自分自身がそのお手本を示さなかったら、アウトですからね。そのプレッシャーは、人知れず巨大なのです。
だから、ホント言うと、完徹のベルギー戦の直後でも、心配なのは電車を寝過ごすことではありません。はるかに怖いのは、パソコン睨んでて乗り過ごすことだったりするのです。
事実、過去何回か、やらかしてます。
会場に1時間以上前に入るスケジュールにしてるのは、
もしもやらかしちゃっても何とか間に合うようにするため、だったりもするのです。


posted by kitaori at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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