北折一ブログ

2017年03月30日

このネタで…。その2

その後バタバタしてるうちに時間もたっちゃって、もうどうでもいい気持ちがかなり強くなってはいるのですが、うやむやに終わるのもなんなので、書いときます。きっと長文になるんで、あることないこと一気にガ〜っと書いたように見えるんでしょうが、「迷いに迷って」書くことばっかだということを、前もってお断りしておきます。

「ガッテン!」の「睡眠薬で糖尿病治療&予防」騒動に関して、前回ぼくはその「責任」はすべて、無能ぶりをさらけ出した管理職にある、と書きました。ただ、「責任」はそこにありますが、「原因」はやっぱりね、番組そのものにあると言わざるを得ないわけですね。
事件後、制作班ではいろいろ話し合いがあったことでしょう。まじめな人たちなので、まじめに話し合ったことと思います。

会社を辞めた後、ぼくはガッテン班のディレクターには、こちらからは連絡をしないようにしてきました。「北折のいないためしてガッテン」を作るのがどれくらいたいへんなことかを、よく知っていたからです。その状況下で死ぬ思いで作った番組について、「ここがイマイチだった、あそこがダメだったという話をされちゃうんじゃないかと思うと、つらい」と、実際に後輩から聞かされてもいましたし。なので、ディレクター本人から「見てほしい、感想を聞かせてほしい」と言われたときだけに限ってそうするようにしていました。
そうこうしているうちに、番組の性質や演出は、ずいぶん変わりました。
辞めた人間なので、それについては言うつもりはまったくありません(聞かれればいくらでも言いますが)。ただひとつ、絶対に変えてはならない部分が変わってしまったことについては、残念とかなんとかじゃなくって、「許しがたい」と思うことが、ちょくちょくありました。
その許しがたいこととは、「お客さんの幸せを願うフリ」です。たぶん、「お客さんの幸せを願ってるつもり」は、失っていなかったと思いますが、「ちゃんと願って」いれば、絶対にできないはずのものが、何度も何度も放送されちゃってました。全国の田舎に住んでるおじーさんやおばーさんたちの「顔」を本気で思い浮かべていれば、放送なんてできっこない情報が、何度も何度も。フリやつもりじゃダメなんだよなー。
たとえば、「ある種のがんのリスクを半減させた」という論文が、信頼に足る国際的な医学雑誌に掲載されたら、即座に放送しちゃうでしょ。でもね。データをよく読んだら、発症率0.086%を0.042%に下げただけだったりするのにさ、さもすごい発見のように煽ってその食品を頑張って取るように勧めるべきなのかなー。
半減は半減だから、間違ってはいないんだけどね。ぼくだったら、そんなことで、買い物難民化してる人も山ほどいる田舎のおじいさんおばあさんをお店に走らせるような放送は出させないよ。
あるいは実生活ではめったに混入しない菌の性質を細かに説明して、しなくてもいい対策をしないと危険かのように思わせちゃうとかね。そんなことして、「大事な情報だから伝えました」みたいな顔するの、楽しいの?
ネタ不足の折、「診療ガイドラインの改訂」がネタの宝庫かのように思うことは、科学番組のディレクターとして心強いとは思います。ただ、「つい最近改訂されたばかりです。いち早くお伝えしました」は、ぼくがいたら許さないですね。それが、「お客さんの幸せを願うフリ」だから。
「ガイドラインが改訂されて2〜3年も経ってるにもかかわらず、町場の不勉強な開業医の人がそれを知らないばっかりに、新しくて実績のある治療を受けられていない人も多い現実」があるならば、堂々と胸を張って放送するべきですが、それとは大違いでしょ。
そんなの、おじーさんおばーさんの顔を本気で思い浮かべたら、ふつーに却下じゃなきゃダメでしょ。だって何が起こりますか?
「テレビで見たけど、こーゆー治療をやってほしい」と、その手の不勉強なお医者さんに伝えたらどーなりますか??「俺の言うこと聞きもしないクセにテレビなんか信用してるからダメなんだよ、アンタは!!」みたいに怒鳴られて、その人は「主治医」と「適切な治療」と「信頼できる番組」の全てを同時に失うでしょ。なぜそのことが想像できないのかが不思議なくらいです。しかも本当にいたたまれない気持ちになっちゃうのは、そのおじーさんは同時に、「自分自身」を失うんですよ。番組を信じてしまった自分を。
それに対する「思い」が少しでもあれば、研究の中身がどうとかは一切関係なく、あのネタは企画段階で瞬殺だった。なのに、誰も本気で止めようとしなかったとはねー。。。。。
言うまでもなく、番組で一番大事なのは視聴率を稼ぐことでもなく名声を誇ることでもなく、なんとなくいい情報を出し続けることでもなく、愛してくれてる「ひとりひとり」です。
「睡眠薬で糖尿病治療騒動」の本質は、番組ホームページに書かれた一つ一つの項目が不適切だったことではなく、その程度のことを想像できなかったばっかりに、たくさんの善良なおじーさんおばーさんを傷つけてしまったことです。だって、たったの一カ月だけどたくさん聞いたよ、「うちの窓口にも実際に睡眠薬の入手方法をお客さんが聞きに来ました」って話を、現場の人たちから。その度に、本当にかわいそうで申し訳ないなーという気持ちに、今でも毎週のようになってしまいます。
この2〜3年の間に、わざわざ取り入れる必要のない個別の食品をさもカラダにいいように言って勧めたことがどれだけあったかをちゃんとカウントして、それが本当にお客さんの幸せにつながったのかを、ちゃんと考えてほしいと思います。

そーゆ―お前はどーなんだと思われる読者の方もいらっしゃると思います。
やりましたよ、ぼくも。すごーーーーーくたまに、ですけど。ちゃんとぼくなりに制限条件を設けていて、カラダにいいという説明をするのは、「もともと日本の伝統食品でかつてはたくさん食べられていたのに消費が減ってしまっているもの」あるいは、「何となくカラダにいいということがすでに浸透していて普段からよく食べられている食品の再検証」に、ほぼ限定してました。あるいは、さんざんおいしさの追求をした後に、ごくごくサラッと入れたことは、まあ何回かはありました。でも、「基本やらない」というスタンスは堅持してました。(あとは、「1回でいいから北折の指示なしで番組を作らせてほしい」と強く訴えたディレクターがいたので任せてみたら、すごくつたない健康モノが出ちゃって、今でも後悔してます。)※注参照

じつはね。ぼくがガッテン班から離れる直前に、とても意外な言葉で引き留めようとしてくれた人がいました。山瀬まみさんのマネージャーさんです。
その言葉とは、「山瀬がですね、北折さんがいなくなったら絶対『あるある』みたいな番組になっちゃうから、何とか引き留めないとたいへんなことになる、と言うんですよ」
すごくないすか、山瀬さん!!
昨春から山瀬さんが出なくなったのを、ぼくはとても残念に思ってましたが、こんなことになってしまった今となっては、まあよかったのかもとも思いますねー。まさかとは思うけど、山瀬さんにゲスト席に座ってもらうにはしのびない番組しかできなくなったから、ご本人のために降板しといていただいてたとか??って、それはさすがにないでしょーが。。。。
あ、横道にそれましたね。
現役スタッフに対する思い、でした。
チェックをするために存在している管理職にその能力が足りてないのが、前々からわかってたことだとするならば、自分たちがしっかりしてなきゃいけなかったはずなのに、とてもそうは思えないものが何度も何度も何度も何度も出ていたことを、この機にちゃんと見つめ直してほしいと願っています。問題が表面化してないだけでホントにたくさんあったんだから。そして、「もう見ない」と言う人をたくさん産んできたんだから。(がんばって制作を続けてる後輩の人たちには申し訳ないけど、早い段階で「もう見ない」と決めてた人には、よかったですねえと言いたい気持ちです。)
ちなみに、管理職のぼんくらぶりで言えば、糖尿の翌週に放送された「コラーゲン」。あれ、おそらくめっちゃバタバタとチェックし直して手直しも相当したと思います。でもね、あの内容だったら、週刊誌にまたまた思いっきり書かれて当たり前でしょ(文春の指摘がすべて当たっているとは、もちろん言いませんが)。そこにも「OK,これで行こう」と言っちゃったえらい人たちばっかだったわけですからね。「なんであんなの放送するんですかねえ」という声を全国でどれだけ聞いたことか、ですよ。医療職だけでなく、一般のお客さんからも。管理職が「OK、これなら大丈夫だろう」と言った番組で。
あのタイミングで流したら、「もう見なくていいな」と思っちゃう人がたくさんいて当たり前なのにね。それに気づけなかったのか、あるいは下手に放送休止や過去の番組の再放送なんかしちゃったら、より騒ぎが大きくなると判断したのかもしれません。でもその判断は、「お客さんの幸せを願って」、ではないですよね。ぼくはそう思います。

いやーそれにしてもねえ。。。。。
その後の番組作りは、ものすごく難しくなっていると想像されます。あの番組は1本3カ月くらいかけて制作されるので、騒動勃発時にはすでに動き出してた放送回も、まだあるでしょう。これから動き始める番組は大丈夫かな??
長い間、ぼくは録画はするもののあまり見る気がしていませんでしたが、今後はまた温かい目で見て行かなければと思っています。足りてない部分があったのは残念でしたが、スタッフのみんなはとてもよい人たちだということを、ぼくは知ってますので。
つーかごめんね。寂しいんだよね、きっとね。
こんなの書いたら、ますますぼくに連絡しにくくなっちゃうかもなと思いつつも、いま書いとかなきゃなと思っちゃったわけですよ。
ふう。。。。


※この辺りの考え方は、以前民放の番組に出演させていただいたときにも語っています。気になる方は、「カツヤマサヒコ 北折」で検索してみてください。
posted by kitaori at 02:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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